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いきいき365日

肺疾患(COPD)とは  戸塚病院 内科医師 山崎 真理

2013年07月26日

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは
 COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、原因のほとんどがたばこであり、これにより生じた肺の炎症から慢性の咳、痰、労作時の息切れなどの症状を認める疾患です。
 日本では40歳以上の8・5%に当たる530万人の潜在患者がいますが、老化による症状や風邪などと考えてしまうこともあり受療率はわずか223万人です。未診断・未治療患者が多く、重症化して初めて見つかるため、COPDに対する認知度を高め、早期診断・早期治療を行うことが重要となります。
 COPDは合併症や併存症の多い疾患で、そのことがQOL(生活の質)に大きな影響を与えることもあり、関連する合併症と併存症は、以下の通りです。
―重要肺合併症:気胸、肺炎
―併存症高血圧:骨粗鬆症、抑うつ、栄養障害、睡眠障害等、骨格筋機能低下、冠動脈系疾患、脳血管障害、糖尿病

診断は?
①呼吸機能検査
 スパイロメトリーで閉塞性換気障害(1秒率が70%未満)であること、気管支拡張吸入後における1秒率が70%未満の場合にはCOPDによる閉塞性換気障害の可能性があると考えます(喘息・気管支拡張症・びまん性汎細(はんさい)気管支炎・肺癌など除外)。
 重症度の判定は1秒量の対予測値で判定しますが、息切れの程度、体重減少、併存症の有無などの総合的判断も大事です。
②画像診断
 胸部単純X線は早期の場合は困難ですが、進行した場合は気腫性病変及び気道病変の診断に有用です。高分解能CTは、早期の気腫性病変、気道の肥厚の検出に有用です。
 COPDの管理目標は、症状の軽減、進行の予防、合併症の予防と治療、増悪の予防と治療です。重症度に応じた段階的な治療を選択し、禁煙、薬物療法、酸素療法、換気補助療法、外科療法を行います。

治療に欠かせない禁煙
 禁煙:COPDの患者の約90%には喫煙歴があり、死亡率は、喫煙患者では非喫煙者に比べ約10倍高い。
 そのためCOPDの進行を抑制するには禁煙は欠かせません。
 薬物療法:症状がある場合は気管支拡張薬が第一選択薬になります。気管支拡張薬は症状を軽減し、増悪の頻度や、重症度を低下させる事も報告されています。重症になると、吸入ステロイドの投与は進行抑制の効果にはなりませんが、重症の時は増悪の回数を減らすとされています。
 酸素療法:慢性呼吸不全が認められる場合は在宅酸素療法も必要となります。
 酸素療法を行うことにより肺高血圧等の進行を予防することになります。
 運動時、睡眠安静時の酸素量の設定は医師の指示の元に行います。
 これらの治療と同時に呼吸リハビリテーションを行うことにより、さらに症状を軽減し、日常生活を心身にわたり良好な状態に保つ事が必要になります。
 またわが国の70%のCOPDの患者に体重減少が認められるため、栄養管理も大切です。栄養指導などを積極的に受け、食生活の改善、栄養補療法に心がけていくことが大事です。

増悪の予防
 増悪とは呼吸困難、咳、喀痰などの症状が急激に悪化した状態のことをいい、増悪の原因として多いのはウイルスや細菌による呼吸器感染症ですが、約30%は原因の特定ができません。
 そのため風邪症状などがあるときは早めに受診をし、また増悪の予防としてインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種が重要です(インフルエンザワクチンはCOPDの増悪の死亡率を50%低下させる)。
 近年、薬物療法では長時間作用性抗コリン薬の効果が大きいといわれています。