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いきいき365日


近年増加している痛風 ・ 高尿酸血症

生協戸塚病院 院長 端山雅之イメージ写真


2014年10月01日
 機関紙「医療生協かながわ」の2014年10月に載った記事を掲載しました。

1 どんな病気か

通風部位のイメージ写真  私たちの体の中には尿酸という物質があります。血液中の尿酸値が7.0㎎/?を超えると「高尿酸血症」と診断されます。この尿酸が関節の中で固まって結晶となり、関節炎を引き起こすと「痛風」となり、激しい痛みと腫れを伴います。

 痛風は男性に圧倒的に多く、 近年増加していて、「平成16年国民生活基礎調査」によると「痛風で通院中」の人は約87万4千人いるといわれおり、1986年の3.4倍にもなっています。
 尿酸は、遺伝子を構成する重要な物質の1つであるプリン体という物質が材料となってつくられています。最近では、プリン体offのビールなどの宣伝もあり、ご存知の方も多いと思います。プリン体は肝臓で分解されて尿酸となります。通常、体内でつくられる尿酸の量と排出される量はバランスがとれていますが、何らかの理由によってバランスが崩れると、体内の尿酸の量が増えてしまい高尿酸血症という状態になります。

2 本当に怖いのは痛さではない

 高尿酸血症を放置すると、痛風以外にもさまざまな病気を起こします。「痛風腎」は腎臓の中に尿酸の結晶がたまることで、腎機能が低下する腎臓病です。
 他にも尿酸の結晶が尿路につまり激痛を引き起こす「尿路結石」もあります。
 さらに重要なのは、痛風・高尿酸血症の患者さんは、生活習慣が原因となる糖尿病、高血圧症、脂質異常症、そしてメタボリックシンドロームなどを合併しやすいということです。こうした病気は、どれもが高エネルギーの食事、かたよった栄養、運動不足、日常的なストレスなどがからみ合って起こります。これらの生活習慣病が怖いのは動脈硬化を進めて、より重大な病気、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患、脳卒中を招くことです。痛風・高尿酸血症になってしまった人は、こうした合併症を防ぐことも視野に入れなければいけません。

3 治療はまず生活習慣の改善

 治療では、尿酸値を7.0㎎/?以下に下げることを目指し、まず生活習慣の改善を行います。「食事療法」「飲酒制限」「適度な運動」が中心になりますが、痛風や高尿酸血症は肥満とも密接な関係があります。肥満があるとインスリンという血糖値を下げるホルモンが効きにくくなり(インスリン抵抗性)、体がそれに対抗しようとインスリンの分泌量を増やします。すると、腎臓で尿酸の排出を妨げてしまうため、尿酸値が高くなりやすいのです。
 そのため食事療法では、まず肥満の解消のため、高エネルギー食を見直します。
 その次に、プリン体の含有量が特に多い食品(プリン体は細胞の核に含まれているので、レバーや魚の干物など細胞数が多いもの)の摂取をなるべく控えるようにするとよいでしょう。また尿酸の排出量を増やすために水分を十分にとる、尿を中性に保つために野菜・海草・きのこ類を十分にとることもよいでしょう。
 アルコールは、ビールに限らず日本酒でも焼酎でも、尿酸値を上昇させる作用があるので注意が必要です。1日の適量を守り、週に2回の休肝日を設けるとよいでしょう。

4 薬物療法について

 痛風発作や痛風結節がある場合には、生活習慣を改善しながら薬物療法を行います。尿酸値が8.0㎎/?以上かつ腎臓病・尿路結石・高血圧・心臓病などがある場合、または尿酸値が9.0㎎/?以上であれば、薬による治療も検討されます。尿酸値を下げる薬には「尿酸をできにくくする薬」と「尿酸を出しやすくする薬」の2種類があります。
 そのほかに、痛風の発作時には痛みをとる薬として非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が短期間使われます。また、発作が起こりそうなときには、発作の進行を抑えるコルヒチンという薬を使用します。

 参考資料

○ 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン
    (日本通風・核酸代謝学会ガイドライン改定委員会編集)
○ 42才からの痛風・高尿酸血症(主婦の友社)
○ NHK健康ホームページ