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いきいき365日


20年~30年かけて発生する肝がん

生協戸塚病院 外科 古谷隆イメージ写真


2014年12月01日
 機関紙「医療生協かながわ」の2014年12月に載った記事を掲載しました。

1 どんな病気か
 肝がんは、肝臓にできる原発性のがんで肝細胞がんと胆管細胞がんの2種がありますが、95%は肝細胞がんです。一般的に肝がんというと肝細胞がんのことを指しています。今回は肝がんについてお話します。

死因の第4位が肝がん
5年前の統計によると肝がんにおけるわが国の死亡者は3.3万人です。男性では肺がん、胃がん、大腸がんに次いで死因の第4位、女性では大腸がん、肺がん、胃がん、膵臓がん、乳がん、肝がんの順ですが、男女合わせた死亡総数では肺がん、胃がん、大腸がんについで第4位です。男女とも50歳代以降に多くみられます。

肝がんの90%はC型肝炎ウイルスの感染から
 日本では肝がんは基礎に慢性の肝臓病を持っている患者さんに多く、もともと肝障害がまったくない人に肝がんができることはまれです。日本人の肝がんの90%はC型肝炎ウイルス(10%はB型肝炎ウイルス)の感染によっておこります。
 肝炎ウイルスに感染してから慢性肝炎、肝硬変を経て20~30年で肝がんが発生します。B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの感染は血液を介して感染します。慢性肝炎や肝硬変などの長期の肝臓の細胞への破壊、再生が肝がんの大きな原因であることが推測されます。またB型肝炎ウイルスの保菌者では、ウイルスそのものが発がんを起こしうるとも考えられています。
肝がんへの推移イメージ写真

危険な状態になる前の発見が大切
 肝がんの症状は小さいものであればほとんど症状はありません。肝がんがかなり進行した患者さんでは、肝機能が低下し、全身のだるさ、右上腹部痛、右上腹部のしこりとして診察できます。また黄疸や腹水など肝硬変が悪化した症状も見られます。さらに肝破裂といって肝がんが破裂すると腹腔内の大量の出血がおこり命にかかわります。したがって危険な状態になる前の発見が大切です。

診断は画像と血液検査が有効
 肝がんの診断は、腫瘍マーカーと呼ばれる血液の検査と超音波検査、腹部血管造影検査、CT検査(ヘリカルCT検査)、MRIなどの画像で診断することが有効です。
 血液検査はAFPやPIVKA-Ⅱが有効です。肝がんは血管が集まりやすいがんのため血管造影も診断の助けになるだけでなく治療の方針決定の助けにもなります。画像だけで判断がつかなければ、肝臓の一部を採取して、病理組織検査で確定診断をつけます。

治療法は
 肝細胞がんの治療法としては、(1)外科的肝切除、(2)経皮的エタノール局注治療(3)ラジオ波凝固治療、(4)肝動脈化学塞栓(そくせん)治療、(5)放射線治療などがあります。
 肝がんを治療する場合には、がんの大きさ、がんの数、転移の有無などを調べ、さらに患者さんの肝機能がどの程度であるかを総合的に判断して治療を行います。
 一般的に肝機能が正常に近い場合は外科的療法、肝機能障害がある場合は内科的局所療法を行います。
 肝移植もこれらの医療として治療の候補に挙がりますが、現在日本の肝移植では、生体肝移植が実施されています。

治療の基本は早期発見
 やはり治療の基本は早期発見です。肝機能チェック、肝炎ウイルスの有無のチェック、超音波検査などの健康診断を欠かさないようにしましょう。
 また最近では脂肪肝、特にNASHといってアルコールが原因でない脂肪肝が肝硬変、肝がんに進展することが指摘されています。一般的な生活態度として過度のアルコール摂取を控え、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの含まれたバランスのよい食事をとることを心がけましょう。適正カロリーを摂取し、肥満を防止し適度な運動をしましょう。

インターフェロン療法も十分に期待
 また肝炎ウイルスの感染が確認された方は、インターフェロン療法による肝炎ウイルスの消滅が十分期待できるようになりました。新たな薬剤の開発で、以前に比べ成績が向上し副作用も少なくなりました。肝がんに対する予防としては、肝炎ウイルスの消滅が一番です。当院でも新たなインターフェロン治療が可能なので一度ご相談ください。