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いきいき365日


減塩で慢性疾患を予防しよう

平塚診療所長 高橋 誠


2016年2月01日
 機関紙「医療生協かながわ」の2016年2月に載った記事を掲載しました。


 私たち日本人が毎日食べている和食は世界遺産に登録されています。多様で豊かな自然から産まれた新鮮な食材を使い、動物性油脂の少ない、栄養バランスが取れた健康食として、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。

 唯一の欠点が塩分の取りすぎです。塩分の取りすぎで高血圧が増え、それに伴う脳卒中や心臓病、腎臓病になることが知られています。塩分が直接血管を傷めて、動脈硬化を起こすことも分かってきました。かつては、脳卒中による死亡が死因の第一位でした。その頃の日本人の平均食塩摂取量は20?30g/日も取っていました。現在はかなり減っていますが、2014年統計で男性は11・2g、女性は9・4gです。
 日本高血圧学会では1日の食塩摂取量6g未満を推奨しています。世界保健機構は世界の人に対して食塩摂取目標を5g未満としています。
 私たちは倍以上の食塩を取っている事になります。健康を守る上で減塩の取り組みが必要です。

陸地の動物にとって塩分を過量に取る事は
   何故身体に良くないのでしょうか?

 我々哺乳類の起源は海です。私達の祖先は海から川へ、川から陸地へと移動してきましたが、陸地に上がった時、その環境に適応するには様々な大きな困難に直面しました。その一つに塩分が体外に失われることでした。
 長い時間をかけて哺乳類は腎臓を高度に発達させて、塩分を失わない様にしたのです。その為、過量の塩分摂取は体に大きな負担をかけます。塩分を過量に取っている動物は人間以外にいません。飼い猫や飼い犬に対して人間と同じような塩分の濃い食事を与えてはいけないと言われていますが、人間にも悪いのです。

濃いめのだしや酢・香辛料を使い
   調味料はかけずに少しつける

 日本人の食塩摂取源を統計で見ると、個人が調整出来る醤油、味噌、食塩、ソースなどの調味料からの食塩は4割程度です。最近では、外食や中食(加工食品や調理済み食品)が増加しています。欧米では個人が調整出来る食塩は2割程度ですので、日本では先ず個人のレベルで減塩の取り組みが大切です。

参考資料、COMCOM2015年9月号のイメージ写真
 塩分の多い食品・料理を表に(表1)しました。日常的によく食べているものに塩分が多いことがわかります。カップ麺一個を汁まで飲んでしまうと、世界保健機構の食塩摂取目標5g未満を軽く超えてしまいます。
 減塩のポイントを表に(表2)示しました。各個人の食塩摂取量を簡便かつ正確に測定する方法はありませんので、私たち日本人は食塩を倍以上とっていることを自覚して、ポイントを参考にして、天然だしを濃いめに取る、酢、香辛料等をうまく使う、調味料はかけずにつける、スプレーする等などを日常的に取り入れましょう。7番目の乳和食は醤油や味噌を半分にして、代わりに牛乳やヨーグルトを上手く使う事です。試しに、納豆に醤油の代わりに牛乳をかけて食べていますが、お勧め出来ます。牛乳を少しかけるのがコツです。

外食や加工食品に注意

 個人のレベルの減塩だけでは、限界があり、不十分です。食塩摂取量の半分以上は、個人で調整出来ない外食や加工食品ですので、その対策が必要です。
 大きな方策の一つは食品産業への減塩の働きかけです。イギリスでは、食品産業へ働きかけて、食品ラベルに食塩含有量を明確化して、交通信号ラベル方式で食塩含有量が多い食品には赤ラベル、食塩含有量が少ない食品には緑ラベルをつけ、消費者に一目で選ぶ事が出来る様にして、国家として減塩政策を先進的に取り組んでいます。日本でも、この様な対策が必要です。
 特に日本では、子供の頃から知らず知らずに大人と一緒に塩分の濃い食事を摂っているので、家庭だけではなく、学校での減塩教育や減塩給食も大切です。その他、マスメディアによる普及啓発や保健・医療による指導・教育も必要です。
 2015年度から医療福祉生協連は健康づくりの中心的なテーマの一つとして減塩の取り組みを始めました。テーマの「すこしお生活」は、「少しの食塩」で「すこやかな生活」を目指す取り組みです。すこしおレシピコンテストや24時間蓄尿塩分調査などが取り組まれました。「すこしお生活」は次年度も継続した取り組みが続けられる予定です。他、マスメディアによる普皆さんも是非参加しましょう。