1. TOP
  2. いきいき365日

いきいき365日


知っておきたい自民党改憲(草案)のゆくえ(中)

稲生弁護士 イメージ写真

2016年3月01日
 機関紙「医療生協かながわ」の2016年3月に載った記事を掲載しました。

問 「フランス議会は全土で発令された『非常事態宣言』を3ヶ月延長することを決定した」との記事を見ました。安倍首相は、参議院選挙後、「環境権」や「非常事態宣言条項」の憲法改正作業から始めたい、各党の意見も一致していると言っています。非常事態宣言条項とはどのようなことでしょうか。

答 自民党の改憲(草案)98条には、「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他法律で定める緊急事態」において、首相は「緊急事態の宣言」を発令できるという案を示しています。

 フランスでは、ISによる同時多発テロで大勢の市民が犠牲になりました。許し難い暴挙です。当然、国際社会は一致してテロをなくし、安全な市民生活ができるように立ち上がるべきです。
 フランス、ロシア、アメリカはイラク、シリア上空から激しい空爆を行い、イギリスの議会は多くの市民の反対を押し切り、空爆に同調しました。
 しかし、テロは空爆で絶滅するのでしょうか。空爆により民間人の犠牲者が出ており、国境なき医師団の活動する病院にも誤爆によって多数の犠牲者が出たとの報道がなされています。
 イギリスでは空爆によって逆に憎しみや怒りによるテロがなされる恐れがあるとして反対運動が起こっています。

治安当局の判断で逮捕

 フランスの国内では非常事態宣言が3ヶ月延長され、報道によれば、テロリストと認められた犯人や被疑者が次々に逮捕、家宅捜索などをされています。フランス政府は今後、テロ扇動の疑いがあるインターネットを閉鎖する可能性があり、治安当局は治安を乱す恐れのある組織、団体を強制解散する権限により、過激思想を持つイマーム(イスラム教指導者)のいるモスク(礼拝所)も閉鎖の対象にする可能性があると報道されています(赤旗21015・11・21)。

 治安当局は、非常事態宣言延長に先立ち、11月20日に予定していた大規模な反テロ集会を中止させました。

 この報道にも見られるとおり、非常事態宣言がなされると、政府(治安当局)が国民の基本的人権の保障、すなわち表現の自由、報道の自由、集会結社の自由などの憲法上の人権保障を停止し、『裁判所の令状によるチェックなしで』治安当局の判断で逮捕し、家宅捜索し、押収し、身柄拘束などができることになります。非常事態宣言条項は以上のとおり非常に危険な内容を含んでおり、少なくとも極右と言われる安倍自民党政権に委ねることはできません。

 フランスでは市民による自由と人権の闘争を行ってきた長い歴史がありますが、テロが発生したのち各地方において排外的な民族主義を掲げる極右政党が急速に支持を広げているという報道がされています。

 こうした状況下では、今こそ、テロの根本的な原因が何かを明らかにし、そこに迫る真の解決策を講ずるように政府に求める必要があるのではないでしょうか。