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いきいき365日


ペットボトル症候群(ソフトドリンクケトアシドーシス)

戸塚病院内科医 山崎 真理 イメージ写真

ペットボトル イメージ写真


2016年11月 機関紙「医療生協かながわ」より記事を掲載しました。

今年は例年になく蒸し暑い日が続き、「屋外・屋内でも熱中症に注意しましょう」「そのためにはこまめに水分をとるように」と、連日テレビや新聞などの報道で言われていました。

 暑い日が続くと、外来では糖尿病患者さんのヘモグロビンA1C上昇が多く認められました。患者さんは、いつもと変わらない食事をしていたようで、お話しを聞くと、汗をかく運動などしていないのに、熱中症予防に清涼飲料水を多く摂取していました。

 屋外に出たり、エアコンを付けずに家の中で汗をかいたときに、冷えた清涼飲料水は口当たりが良く、つい飲み過ぎてしまいます。
多量の糖質を含む清涼飲料水を飲み過ぎると、「ペットボトル症候群」を引き起こす場合があるので、注意が必要です。ペットボトル症候群とは、「糖質を多く含む清涼飲料水を大量に飲むことでおこる急性糖尿病」です。そのため清涼飲料水を飲むことが多い若者にとくに多いのが特徴です。

 1990年代、高校生が一日に2?3?の清涼飲料水を水代わりに飲んでいて、意識障害で病院に運ばれたということがありました。こうして社会的問題として注目されるようになりました。

角砂糖15個分

 一般的な清涼飲料水500?のペットボトルで、おおよそ50?70gの糖分を含んでいます。角砂糖15個分に相当します。2?飲むと、糖分のカロリーはおおよそ1000㌔㌍で、一日の半分のカロリーです。清涼飲料水の怖いところは、食事と違って、カロリー量に自分で気づきにくい点です。

 糖質の過剰摂取が習慣になった人が高血糖の状態になると、のどが渇き、さらに多くの水分を摂取しようとします。糖質が含まれない水・お茶ではなく、清涼飲料水を飲んだ場合、さらに多尿になり、のどが渇くという悪循環に陥ってしまいます。その結果インスリン作用が不足して、最終的に体内にケトン体が蓄積し、全身倦怠感、腹痛、嘔吐、最悪は意識障害を引き起こすことがあります。

 治療は、点滴にて症状が軽快します。ただし症状の重さによっては、1週間近くの入院になることもあります。スポーツなど運動や汗をかいたあとは、水とスポーツ飲料の両方を用意して交互に飲んだり、スポーツドリンクを薄めたりするのも良いでしょう。

カロリーオフでも血糖値が上がる?

 店頭には「カロリーオフ・「カロリーゼロ」などと表記した商品が増えています。こうした商品の多くは糖質の量を少なくしたり、体内で吸収しにくくエネルギーになりにくい甘味料を使っていますが、エネルギーがないわけではありません。「カロリーオフ」 は100?あたりのエネルギーが20㌔㌍以下の場合に、「カロリーゼロ」は5㌔㌍未満の場合に表記できます。糖質が入っていなくても、脂質・炭水化物が含まれている場合があり、エネルギーが高い成分が入っていれば、糖尿病患者の血糖値をあげるきっかけになります。
 糖尿病患者や外来で境界型糖尿病を指摘された人は、水分の取り方に注意が必要です。

 ※清涼飲料水…アルコール分が1%未満の飲み物で、炭酸飲料、果実飲料、野菜飲料、スポーツドリンクなど。