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いきいき365日


怖い 見つかりにくい大腸がん 上

戸塚病院 外科医 尾谷 博庸 イメージ写真

2017年2月 機関紙「医療生協かながわ」より記事を掲載しました。

 大腸は消化吸収後の腸内容物から水分を吸収しながら大便にするところです。多種、多量の細菌の住みかであり、その長さは約2m、結腸と直腸、肛門からなり、大腸内でもS状結腸と直腸が大腸がんの発症やすい部位です。

発生と危険因子

大腸の部位 イメージ画像  大腸がんの発生には、遺伝的因子よりも環境的因子の比重が大きいと考えられており、食の欧米化による動物性脂肪やタンパク質のとり過ぎがあります。しかし5%前後の大腸がんは遺伝的素因で発症するとされています。
 大腸がんの危険因子は
 ① 大腸ポリープになったことがある
 ② 血縁者の中に大腸がんにかかった人がいる
 ③ 長い間潰瘍性大腸炎にかかっている
 ④ 治りにくい痔ろうである
などの因子が指摘されています。


 特徴的な症状はなく、良性疾患でもがんと類似した症状がおきます。血便、便が細くなる、残便感、腹痛、下痢と便秘の繰り返しなど排便に関する症状が多く、これらはS状結腸や直腸に発生したがんにおきやすい症状です。

 中でも血便が多く見られますが肛門から離れた盲腸がんや上行結腸がんでは血便を自覚することは少なく貧血症状があらわれてはじめて気がつくこともあります。腸の内腔が狭くなりおこる腹痛や腹鳴、腹部膨満感や痛みを伴うしこりが初発症状のこともあります。

早期の診断が重要

 大腸がんは、早期であれば100%近く完治しますが、この時期一般的には自覚症状はありません。大腸がんで死なないためには無症状の時期に発見することが重要となります。

簡易検査のヘモキャッチ

 大腸がんのスクリーニング(検診)の代表的なものは、地域、職場で普及してきた大便の免疫学的鮮血反応で、食事制限なく簡単に受けられる検査です。
ヘモキャッチ イメージ画像
 しかし、この検査が陽性でも「大腸がんである」ということではありませんし、逆に陰性でも「大腸がんではない」ともいえません。40歳を過ぎたら検診を受けることをお勧めします。

 大腸がんの診断のためには、注腸検査や大腸ファイバースコープが必須です。どちらの検査も下剤で便を全部排出しないと精度の高い検査はできません。胃の検査などに比べれば多少負担のかかる検査といえます。

注腸造影検査

 食事制限の後、下剤で前処置を十分行ないます。肛門からバリウムと空気を注入し、X線写真をとります。

大腸ファイバースコープ(内視鏡)

大腸ファイバー検査 イメージ画像  S状結腸までを観察する短い内視鏡と、盲腸まで全大腸をくまなく観察できる長い内視鏡とがあります。検査を受けている方が直接電子画面を見ながら医師の説明を聞くことができ、微妙な色調の変化や、極めて小さなポリープまで発見することができる他に、ポリープの切除も可能です。注腸検査より精度の高い有用な診断方法ですが、腸穿孔(せんこう:腸に穴があく)や出血などの合併症が発生することがあります。また、内視鏡には死角がありポリープを見落とす可能性があり、どちらを行なうかは担当医とご相談下さい。


腫瘍マーカー

血液検査 イメージ画像  血液の検査で身体のどこかに潜んでいるがんを診断する方法です。しかし、大腸がんを早期に発見できる腫瘍マーカーはまだなく、CEAとCA19-9と呼ばれるマーカーが一般的ですが、進行大腸がんであっても約半数が陽性を示すのみです。腫瘍マーカーは転移・再発の指標として、また治療効果の判定基準として用いられています。経時的な測定が必要です。


画像診断(CT、MRI、超音波検査、PETなど)

大腸CT イメージ画像  これらの検査の進歩は目覚しいものがあります。大腸がんに関しては、原発巣での進みぐあいと肝臓や肺、腹膜、骨盤内の転移・再発を調べるために用いられます。また注腸検査や内視鏡検査が困難な患者さんの場合、CTである程度診断する事が可能です。


 今回は大腸についてと大腸がんの原因・症状発見の手段についてお話しました。次号では治療方法についてお話します。