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いきいき365日


怖い 見つかりにくい大腸がん 下

戸塚病院 外科医 尾谷 博庸 イメージ写真

2017年3月 機関紙「医療生協かながわ」より記事を掲載しました。

大腸がんの治療法には内視鏡的治療、外科治療、放射線療法、化学療法があります。

内視鏡的治療
 内視鏡で観察し、ポリープがあれば切除します(内視鏡的ポリープ切除術)。摘出したポリープの病理学的(顕微鏡)検査が重要です。ポリープ(腺腫)や粘膜内にとどまる早期のがんは、これらの方法で簡単に治療することができます。最近では大きい病変に対してもがんが粘膜内にとどまっていれば、胃がんと同様内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術といった内視鏡治療が行われるようになりました。
 がんが大腸壁深くまで(粘膜筋板を超えて)拡がっていれば、リンパ節転移の危険性が10%前後生じるため外科治療が必要となります。

外科療法
 結腸がんの手術:内視鏡治療の適応でない大腸がんの治療は外科療法が基本です。結腸がんの場合、切除する結腸の量が多くても、術後の機能障害はほとんどおこりません。リンパ節郭清(かくせい)と呼ばれるリンパ節の切除とともに結腸切除が行なわれます。また、がんが周囲の臓器に浸潤している場合、それらの臓器も一緒に切除するようになります。

直腸がんの手術
大腸の部位 イメージ画像  直腸は骨盤内の深く狭いところにあり、直腸の周囲には前立腺・膀胱・子宮・卵巣などの泌尿生殖器があります。排便、排尿、性機能など日常生活の上で極めて重要な機能は、骨盤内の自律神経という細い神経繊維によって支配されています。進行していない直腸がんには、自律神経をすべて完全に温存し、排尿性機能を術前同様に残すことも可能です。しかし、自律神経の近くに進行している直腸がんでは、神経を犠牲にした確実な手術も必要となります。直腸がん手術には進行度に応じた様々な手術法があります。
 ①自律神経温存術
 ②肛門括約筋温存術
 ③局所切除
 ④人工肛門

腹腔鏡手術
腹腔鏡手術 イメージ画像  がんが盲腸、上行結腸やS状結腸、上部直腸に位置し、内視鏡的治療が困難な大きなポリープや早期がんが腹腔鏡手術のよい適応と考えられています。最近では進行がんに対しても積極的に行なわれています。腹腔鏡手術を希望する場合には、開腹手術と比較した長所、短所の説明を十分に受けて、腹腔鏡手術か開腹手術かを決定して下さい。

放射線療法 イメージ画像 放射線療法
 以前は、放射線療法は直腸がんの原発巣や骨盤内再発の治療、大腸がんの骨転移、脳転移に行なわれる場合がほとんどでしたが、最近では大腸がんの術前治療としても行なわれる事があります。


化学療法
化学療法 イメージ画像  進行がんの手術後は再発予防の目的で、抗がん剤による補助化学療法が行なわれる場合があります。また、手術時に肝臓や肺などに転移していて切除できなかった場合や再発が明らかな場合には、予防的な補助療法とは異なり、より大量の複数の抗がん剤による併用療法が行なわれます。
 肝臓だけに転移がある場合は、肝動注化学療法と呼ばれる肝動脈から抗がん剤を注入する治療を行なう場合もあります。
 最近の抗がん剤治療は、昔と比較し格段の進歩をとげ、術後の生存期間延長に大きな役割を担っています。


大腸がんの局所再発と全身への転移 イメージ画像 再発・転移大腸がんの治療
 もし転移・再発が発見された場合、その部位や転移の個数により治療方法が異なります。大腸がん以外のがんでは転移・再発した場合に手術を行なうことはまれですが、大腸がんの場合には、肝臓や肺、骨盤内に転移・再発し、他の臓器に転移・再発していない場合には手術を行なう場合があります。また手術以外にも抗がん剤、放射線治療が有効な場合もあります。
 再発大腸がんの治療方針については担当医から十分に説明を受けて、状況によってはセカンドオピニオンを受け、患者さん自身が納得した治療を選択して下さい。


手術後の管理
 大腸がんは手術が治療の中心です。少し進行していても治るチャンスが他の消化器がんに比較して高いわけですが、手術後は再発の早期発見のために定期的な検査を行なうことが極めて重要です。大腸がんでは肝臓や肺・骨盤内に転移・再発する場合が多いのですが、その場合でも切除可能な場合には早期に転移・再発病変を切除したり、切除不可能な場合にも早期に化学療法や放射線療法を開始することが大切だからです。
 厳重に追跡検査を行なえば、再発の8割を2年以内に発見することができます。成長の遅いがんもあるので5年間の追跡は必要です。

検診のおすすめ
 全国平均では、検診で大腸がんがみつかった患者さんは大腸がん全体の20%以下ですが、当医療生協では、皆さんの検診への取り組みの努力のお陰で50%前後と思われます。
 これまで大腸検査を受けられたことがない40代以後の方は、一度検診を受けられる事をお勧めします。